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非営利組織のマーケティング戦略入門

寄付金を集めたり、各非営利組織における使命を達成したりするためには、適切なマーケティングの戦略が求められます。そこで、今回は、公益法人や非営利組織・団体におけるマーケティング戦略の導入について、考えてみたいと思います。

マーケティング志向の経緯

今までの歴史を振り返ると、マーケティングは、製品志向から販売志向を経て、顧客中心主義である顧客志向になっていると考えられます。

「安くて質の良い製品さえ作れば売れるだろう」という製品志向、「いかに販売促進をするか」という販売志向があったと思います。

年配者は製品志向が強いでしょうし、中年の方は販売志向が強いでしょう。

ですが、今求められているのは、顧客志向です。

顧客志向

顧客志向とは、顧客のニーズ・欲求・理解・好み・満足度を調査し、マーケティングに適用することです。

事例として、あるアメリカのオーケストラは、聴衆の拡大について悩んでいました。しかし、中堅大学の調査によって、コンサートに行くのを好みそうな潜在顧客の多くが、「コンサートは非常に格式張っているから行かない」と考えていることが明らかになりました。そこで同楽団は、近隣の美術展や野外イベントで、フォーマルでない室内楽を演奏し始め、学校でも演奏を行いました。時には、フットボールのハーフタイムでも演奏し始めたのです。指揮者のマイケル・ティルソン・トーマスは、地方のテレビ番組に出演して、視聴者に向けて特別演奏会の短くて形式ばらない紹介さえも始めました。

これにより、同楽団においては、入場者数が明らかに増加したと言います。

従来は、「顧客はクラシック音楽に興味が無いに違いない」とか「有名な曲を演奏しないと来てくれない」といった決めつけをしていたと思います。

ですが、問題はそこではなかったのです。

このような「発見」をするためにも、「何が原因で組織の目標が達成されていないのか」を調査する必要があります。

ただ、調査するといっても、何を基準に聞くかが重要です。

先のオーケストラの例では、多くの関係者は、低所得者よりも高所得者、低学歴層よりも高学歴層がターゲットであるという決めつけをしています。

ですが、全米芸術基金によると、オーケストラの聴衆としての有望な人々を予測する最も有効な指標は、収入と教育といった伝統的な人口統計上の要因ではなく、音楽鑑賞への姿勢、過去の経験、幼年期の訓練などのライフスタイル要因だそうです。

また、ターゲット顧客像としては、音楽ファンに加えて、演奏会場を社交場とするグループも存在することも明らかになりました。

こうしてみると、安易にアンケート調査をするというよりは、まずはターゲット対象者の調査を先にやり、適切な質問を顧客にぶつけた方が良いと思われます。

  1. まず、顧客の実態を知る
  2. 次に、ターゲットを知る
  3. 最後に、適切な調査を実行する

マーケティングを計画しよう

マーケティング計画をするにあたっては、様々な視点による分析が欠かせません。

大まかに言えば、分析には「組織分析」と「外部環境分析」をすることが挙げられるでしょう。

組織分析

組織分析の項目は、使命・目的・目標・組織文化・強み/弱み・資金提供元・顧客へのアプローチ法・ボランティアの確保です。

例えば使命ならば、実現の可能性があり、かつ、際立っており、やる気が出るかどうかがチェックポイントです。また、顧客がどうなっているかを考えることも重要です。例えば、オーケストラの使命として、「音楽を届ける」「音楽を楽しんでもらう」という定義は不十分で、代わりに「音楽を通して聴衆に元気になってもらう」「生きる喜びを味わってもらう」といった、顧客の最終的な姿を使命に盛り込むべきです。

外部環境分析

外部環境分析の項目としては、顧客対象・競争相手・社会的環境が挙げられます。

このうち、競争相手について言えば、4つの段階において存在します。

まず、その人が「どんな望みを叶えたいか」と考えたときに対象となるもの全てが「欲望競争相手」です。娯楽産業であれば、仕事や家事・フィットネスなどが競争相手になるでしょう。

そして、その人が娯楽を選択したとします。次の競争相手は「一般的競争相手」で、「どうやって事業対象を楽しみたいか」ということです。テレビで楽しみたいのか、映画で楽しみたいのか、公演で楽しみたいのか…。

さらに、公演を選択したとして、今度は「どの形態の事業対象で楽しみたいのか」という質問がきます。ロック・コンサートなのか、ミュージカルなのか、演奏会なのか、です。これを「サービス形態競争相手」と名付けます。その後、幸運にも、演奏会を選択したとします。すると今度は、「事業競争相手」である、「どの種類の事業内容で楽しみたいのか」という問いに入ってきます。古典作品がいいのか現代作品がいいのか、交響曲がいいのかオペラの演奏会形式がいいのか、などです。

通常の非営利団体は、「事業競争相手」のみしか考えません。ですが、実際には、他に3つもの競争相手の分野が存在するのです。

具体的に、欲望競争相手への対処事例を挙げるとするならば、「私たちのオーケストラのCDを聴きながら、家事や運動をしませんか?」といったアプローチが可能でしょうし、一般的競争相手にしても、競合対象と差別化したり、逆にコラボレーションすることもできるでしょう。「サービス形態競争相手」にしても同様です。

そう考えると、マーケターという者は、あらゆる敵を想定して、戦ったり、協力したりしなければならないのです。

非営利マーケターの調査結果への理解

マーケティング調査をして、その結果が出たとしても、調査結果への正しい理解と解釈がなければ、調査をした意味が無かったと言えるでしょう。

非営利マーケターが、調査結果への正しい分析をするためのポイントを記述します。

まず、重要なことは、以下の3つの理解をすることです。

  1. 市場特性の理解
  2. 関連性の理解
  3. 因果関係の理解

市場特性の理解

各市場には、特性があると思います。

寄付者や来場者の年齢、性別、職業、収入、家族構成などの特徴です。

あるいはプログラム別、公演別などの事業内容における特徴もあるかもしれません。

まずは、市場の特性を割り出し、理解することです。

関連性の理解

市場の特性を理解したならば、今度は、「顧客」と「市場の特性」との関連性を理解します。

来場者の多くは高齢者だった、しかも、会社員や公務員が多かったなどです。

あるいは、顧客が演奏会から遠ざかる理由で「仕事の多忙」と「出産・子育て」が多かったという関連性を見つけることができるかもしれません。

因果関係の理解

関連性を理解したならば、その因果関係を理解します。

来場者の多くが高齢者だとしたら、何が理由なのか?

高齢者の方が演奏会に行く頻度が高いので、必然的に定期会員になるのか、あるいは、単に資産(所得)が若い人よりもあるためなのか?

逆説的に、若い人が来ない理由は、興味がないのか、学業や仕事に忙しいからか、収入が少ないからか?

総合的に鑑みて、因果関係を理解します。

この「因果関係の理解」は、なかなか難しく、大変な労力を要しますが、多くの非営利マーケターはここまでやらないので、他の非営利団体よりも一歩先を行くことができるでしょう。

因果関係がはっきりすれば、その後の対応も明白に見えてきます。

非営利団体が抱える悩みの解消のためにも、顧客と市場特性との因果関係を理解しましょう。


参考文献

フィリップ・コトラー、アラン・R・アンドリーセン『非営利組織のマーケティング戦略』(第一法規)

尾形 丈人
所沢ホームページ制作センター
尾形 丈人
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